4月20日(土)、シビックプライドライブラリーにて、ぎふライブラリークラブのイベント、「吉成信夫さんの話を聴いておこう」を開催しました。このイベントは、4月30日で退任するメディアコスモスの総合プロデューサーの吉成信夫さんの話をいま、聞いておきたい!というぎふライブラリークラブの会員さんからの熱い気持ちで立ち上がった企画です。
イベントでは岐阜市立図書館の館長を5年間、そして総合プロデューサーとして4年間このメディアコスモスに関わってきた吉成さんがどんな思いでここにいたのか、お話をしていただきました。
岐阜にゆかりのあったわけではなかった吉成さんが図書館長をすることになったのは3.11、東日本大震災を岩手で体験し、みんなが集まる場所の必要性を実感していたころ、たまたまFacebookで流れてきた岐阜市立図書館長の公募が目に留まったことがきっかけでした。
2015年4月に赴任して7月にメディアコスモスがオープンするまで、この図書館をどうやったらワクワクする場所にできる?と司書と一緒に考え続けたこと。『子どもの声は未来の声』を、この図書館が大切にしていく言葉として掲げることを決めたこと。岐阜市立図書館を貸本屋ではなく、リビングルームのような、公園のような温度感のある場所にしたかったこと。『みんなの森』と冠のついたこのぎふメディアコスモスですが、『みんなの森』の"みんな"って誰なのかをずっと考えてきたこと。この日集まってくださった30人のお客さんが耳を傾ける中、今まであまりこういった公の場で語ってこなかったことを自分の言葉で伝えてくださいました。
また、ひとりひとりが自立してつながりあう場を一緒に作っていきたい、わくわくできることを一緒にやりませんかという気持ちで始まったのがぎふライブラリークラブです。ぎふライブラリークラブは今までも市民の『こんなこと図書館でやってみたい!』を受けたくさんの企画を実現してきた、岐阜市立図書館ならではの取り組み。事業よりも先に"人"がある、と吉成さんは言います。担い手を育てていくことに力を注ぎたい、とぎふライブラリークラブをはじめ子ども司書の養成や心の叫びを聴け掲示板などにも力を入れてきました。館長、そしてプロデューサーとして務める中で『次の世代のために子どもたちのための居場所を用意したい』という気持ちがいつも一番のモチベーションだったそうです。今紡いでいる毎日は何年も先を見据えた種まきのようなものなのかもしれません。
岐阜は新しいもの、良いものを受け入れてくことを躊躇しない良さ、変えていくことをいとわない良さがある、と吉成さんは言います。メディアコスモスの来館者数は、昨年度、開館8年目にして過去最多を記録しました。公共の施設としては開館して8年間経ってなお、増え続けることはあまりなく、たくさんの人が日々足を運んでくださることを嬉しく思います。イベントでは直接お客さんと言葉を交わし耳を傾け語り合う場面もあり、お客さんの言葉でこの図書館がオープンしてからたくさんの人に愛されてきたことをあらためて実感しました。
吉成さんの退任後も変わらずに、ここにいることを多くの利用者の皆さんに楽しんでいただけるよう、"みんな"にとって居心地のいい図書館って、と考え続けたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
知らなかった岐阜を知る「みんなの図書館 おとなの夜学」を令和6年3月日に開催しました。令和5年度最後のおとなの夜学は、図書館を飛び出して、岐阜市長良にある護国之寺(ごこくしじ)で開催し、住職の廣瀬良倫さんに護国之寺の由来から、お寺にまつわる貴重な品々について現物やレプリカとともに解説いただきました。
奈良時代に作られた国宝金銅獅子唐草文鉢には、聖武天皇が東大寺大仏を作る際に呼んだ腕の立つ仏師が、褒美に受け取った鉢を持ち帰り護国之寺を建てたという由来があります。
本来ガラスケース越しでしか見られない貴重なお宝をレプリカでじっくりと見ることができました。鉢自体は半球形で、布を敷かないと自立しない形状になっており、間近でまじまじと見ながら参加者それぞれが感じた疑問を住職に答えていただく場面もみられました。
他にも蓑虫山人の掛け軸(現物)なども紹介したいただきました。イベント終了後も今回紹介された品々を時間の許す限りじっくりと拝見させていただくことができ、ゆかりある場所で住職に解説いただくというとても贅沢な時間を過ごすことができました。
今回の会場である護国之寺は高台に建ち、岐阜城や長良川などが普段とは違った角度で楽しむことができる素敵な場所でした。参加されたみなさんも「こんな場所にお寺があったなんて」とイベント終了後に寺院内をゆったり散策するなど思い思いに楽しんでおられました。まさに「知らなかった岐阜を知る」というおとなの夜学の醍醐味を味わえた会になったのではないでしょうか。
後日おとなの夜学ホームページにてイベントの様子を記録した動画がアップ予定です。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜学公式ホームページ(別のページに移動します)
2024年3月16日(土)午前10時より岐阜市立中央図書館のつながる読書のへやにて、自分史活用アドバイザーの武山康弘氏をお招きし「自分史講座」を開催いたしました。昨今、自叙伝の執筆に興味を持たれている方も多いようで、募集開始後すぐに定員に達する人気ぶりでした。
まずは参加者同士の自己紹介から始まり、人生のターニングポイントを記した折れ線グラフを見ながらお互いの歩みに耳を傾けたり、気になった部分は質問し合ったりと、和やかな雰囲気で進んでいきました。途中、特に印象的な出来事について、文章に深みを持たせるため時代背景を調べようと、図書館が所蔵する過去の新聞を活用する場面も。
その後も、要点をまとめるためのワークシートやこの先の計画書の作成など各々積極的に取り組む姿勢が見られ、時間いっぱいまで講師への質問も多く飛び交いました。
今回の講座は入門編ということでしたが、今後ご自身で自分史を執筆していくために必要な手順や考え方を学ぶ時間を得られたのではないでしょうか。参加者からも、「興味があったが、始めるきっかけになった」、「書く手が止まっていたが続けられそう」など、前向きなご感想をいただきました。今後も図書館を活用し、ぜひ自分史を完成させていただきたいと思います。
3月16日(土)にメディアコスモス1階かんがえるスタジオで、2023年度のボランティア活動を振り返る報告会と交流会を行いました。
活動報告会では写真などによる各館・各図書室それぞれの活動の様子を紹介しました。また中央図書館の資料修理ボランティアの皆さんに事前アンケートを行い、活動に対する思いなどを答えてもらいました。資料修理ボランティアをしていて楽しかったことは修理が美しくきれいに仕上がった時、ボランティア仲間の方たちと仲良くなれたことなど、参加者も興味深そうに聞いていました。
続く交流会では司書も輪に入り、持ち寄ったおすすめ本を紹介しながら自己紹介を行いました。自分の推し作家の本は全部読むようにしているという人や講演会に参加するときは必ずその作家関連の本を読み、予習してから出かけるという人など、おすすめ本の紹介だけでなく、皆さんが日頃どんな風に本と関わっているかも知ることができました。紹介された本は読んでみたいと思う本ばかりで、メモを取りながら聞いている人が多かったです。今回の参加者は中央の書架整理ボランティアのみだったので、書架整理をしていて困っていることやどうしたらいいのか聞いてみたかったことなどを話し合いました。皆さん思っていたことはほとんど同じで、書架整理あるあるだなと感じました。
その後も話題を変えながらにぎやかに楽しく交流をしました。
今年度は以前のような活動が戻り、中央図書館では書架整理ボランティアの活動日数が300日を超え、資料修理の活動で修理された冊数は4000冊を超えました。
ボランティアの皆さんの力をひしひしと感じ、職員一同とても感謝しています。
来年度も引き続きよろしくお願いします。
知らなかった岐阜を知る「みんなの図書館 おとなの夜学」。第9期3回目を令和6年2月19日に開催しました。
戦国から今へ続く岐阜の茶の湯文化をひもとき、現代のまちづくりにどのように活用していけるのかお話をお聞きしました。
前半は林さんに、お茶の始まりから岐阜における歴史についてお話いただきました。信長公は武家社会のヒエラルキーをお茶を使って作ったそう。自分が認めた者のみ茶会へ出席させたり、限られた武士のみが自身で茶会を開くことができるなど、今も茶道のしきたりとして続いているものがありますね。それぞれの時代で文化を牽引した人物が岐阜の地で多様な影響を与え、今へ続く茶の湯文化が作られてきたことなどを教えていただきました。
後半は茶の湯文化をまちづくりに活用している藤丸さんにお話をお聞きしました。伝統ある建造物の一室で茶会を開いたり、普段は見られない貴重な茶器を借りて参加者と一緒に語り合うなど、茶の湯を親しみあるものにと、まちづくりを続けてこられたそう。岐阜においても茶の湯を活用してどのようなことができるのか、参加者とともに考える場面もありました。
「お茶」と聞くと、ルールが多く敷居が高いイメージがありましたが、ルーツを知り、もっと気軽に楽しみながらそうした文化を活用して現代のまちづくりに繋げていけるのではと、茶の湯文化の新たな可能性を感じる会となりました。
動画はYoutubeでお楽しみいただけます(下記リンクでは新しい画面が開き、別サイトに移動します)
https://www.youtube.com/watch?v=CzQkWUbXCRs
3月3日(日)、チェリストの山田真吾さんをお迎えして、「みんなのLIVEラリー」をシビックプライドライブラリーにて開催しました。これは、「岐阜で楽しく豊かに暮らす」をコンセプトに本を置いているシビックプライドライブラリーで、岐阜に暮らす人が集い、それぞれのやり方で探してきた、それぞれの"豊かさ"や"生きざま"を交わし合うようなトークイベントになれば、という思いで立ち上げた新企画です。第1回は「読んで、奏でて、生きてきた。」と題してチェリストの山田真吾さんをゲストにお迎えし、本にまつわるトークとチェロの生演奏を楽しみました。
前半のトークでは図書館職員を聞き手として、3冊の本を手掛かりに山田さんの人生をひもときます。『だからお前は落ちるんだ、やれ!』には中学生の時と21歳のチェロをもう一度頑張ってみようと思ったタイミングで読み、自分にとっては"原点の1冊"語ります。山田さんは大学の工学部を卒業された後、チェロを学ぶためにハンガリーのリスト音楽院へ留学したという、音楽家としては少し異色の経歴の持ち主。音楽以外にも様々な経験をされた彼だからこそ、「人生は一度だから」と語るポジティブさに説得力がありました。
また、東野圭吾の『白夜行』は山田さんが初めて読んだ小説で、この本をきっかけに小説をたくさん読むようになったそうです。当時のチェロの先生に、「いろんな引き出しを持っていなさい、論理的なだけでは理解できない、弾くことができない曲が出てくるよ」と言われたことをきっかけに山田さんは当時一番流行っていたというこの本を手に取りました。小説を読むことで、人の弱さや強さに思いを馳せ、弾くことができるようになった、100冊くらい読んで初めて、あの時先生が言いたかったことがわかった気がした、といいます。一見あまりつながりがあるようには思えない、本の世界と音楽の世界が山田さんの言葉で広がりを持ち、つながったように感じました。
軽妙な語り口で終始笑顔の絶えないトークが終わると、いよいよチェロの生演奏。後半の演奏では、1曲1曲解説をしていただいた後に聴く演奏は情景が目に浮かぶよう。本に囲まれた空間で生演奏を聴く、とても豊かで贅沢な時間でした。
また、演奏が始まるとすぐに来館者の皆さんも音に引き寄せられたくさん集まってくださいました。コンサートホールではなく図書館で行ったことで、普段はクラシックを聴かない人にも音楽を楽しんでいただくことができたように思います。
山田さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
【紹介していただいた本】
2月17日(土)と21日(水)にメディアコスモス1階あつまるスタジオで、令和6年4月から活動を始められるボランティアに向けて説明会を行いました。今回は31名の方が参加されました。
まずは、何はともあれ"岐阜市立図書館ってどんなとこ?"か知ってもらいたいと思い、地図やイラストを使ったり、図書館にまつわる数字を出したりしながら説明。また、ボランティア活動にも色々な種類があるので、それぞれの活動内容について簡単に紹介しました。自分の活動以外にも興味をもっていただけたらいいなと思います。
次に、これから一緒に活動していくボランティア同士、交流を深めるために「もし私が図書館長になったら!」というテーマで自由に考えたこと(密かな野望?)を発表しあいました。皆さん、とても積極的で、自ら手を挙げて次々に発表してくれたことには少し驚きました。密かな野望?を一部紹介しますと...
"子どもが読むおはなし会をしたい"
"本やまんがに出てくる料理やお菓子を作って、食べながら、本について語り合う"
"物語の主人公になりきれるバーチャル図書館"
...こんな感じです。
実現できそうものや実現できたら楽しいユニークなものまで、とてもバラエティー豊かでした。私たちも一緒になって、和やかで楽しい時間を過ごせました。
初めてのボランティア活動で不安もあるかと思いますが、4月からの活動よろしくお願いします。
いっしょによりよい図書館を作っていきましよう!